本図は「祇園牛頭天王」と記され、牛頭を頭上に頂いた神像である。
しかし、像容はスサノヲ型の古代神であり,さらに右端に八雲神詠があり,左には「速素佐男大神」とあるなど,復古的なスサノヲとしての傾向が顕著である。
左手に稲穂を持つのは、豊穣神としてのスサノヲの性質の表れであろうか。
一方で、「五黄土星寅之本命最大王神」とあり陰陽道(暦道)とのつながりも見られ、八雲神詠の左下には陰陽道と関わりの深い「セーマンドーマン」の九字紋が記されている。
また、「悪疫退除」とあるなど,牛頭天王の陰陽道神・疫神としての性質ものこされている。
このように、本図には祇園神のイメージが牛頭天王からスサノヲへと移行してゆく過程が顕著にあらわれている。
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