祇園の三神(牛頭天王・頗梨采女・八王子)を一つの軸に記載した神像軸。
白黒の版画に着色したものと思われ、同じものは多数制作されている。
牛頭天王の姿は牛頭・炎髪・斧・羂索・半跏踏下坐という典型的な像容であり、陰陽道の教典である「金烏玉兎集」に記述される斧・羂索・憤怒・牛面という像容に沿っている。
牛頭天王の妃である頗梨采女とその子である八王子もそれぞれ典型的な像容である。
頗梨采女は背景に門松が描かれているところから年神としての歳徳神でもある。また、八王子は八将神として描かれている。
この図の特徴は、向かって中心に牛頭天王、右に八王子、左に頗梨采女を配置していることであり、これは江戸時代の祇園社の本殿の配置に合致する(ただし、明治以降は東西が逆となっている)。
したがって、本図は祇園社の信仰形態を図像化した、祇園社曼荼羅であるといえる。
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